素晴らしい作品だった。
通常、アニメや漫画のレビューに限らず、余程のことがなければ5段階評価のうち中央値である3の評価が多い。
だが、この作品は人を選ぶ。ゆえにまったく受け付けず嫌悪するか、感化され、賞賛するかという二極化しやすい。
だからこそ、この作品は好き嫌いせずにまず2.3話チャレンジしてほしい。
あらすじ
1000年後の日本。人類は「呪力」と呼ばれる超能力を身に着けていた。
注連縄に囲まれた自然豊かな集落「神栖66町」では、人々はバケネズミと呼ばれる生物を使役し、平和な生活を送っていた。その町に生まれた12歳の少女・渡辺早季は、同級生たちと町の外へ出かけ、先史文明が遺した図書館の自走型端末「ミノシロモドキ」と出会う。そこから彼女たちは、1000年前の文明が崩壊した理由と、現在に至るまでの歴史を知ってしまう。
禁断の知識を得て、早季たちを取り巻く仮初めの平和は少しずつ歪んでいく。via:新世界より (小説) – Wikipedia
レビュー
この作品は議論をとても生みやすい。
なぜなら人類がたどってきた歴史、文化、宗教、政治など全員が同意しにくい要素をこと細かに作品へ絡ませている。
そのため、この世界観や形成された文化に嫌悪感を持ち、価値観が合わないという理由で作品に馴染めない人も多いと思う。
つまり、宗教で言うところ今までキリスト教を信じていたけど、まったく異なる宗教が世界で形成され、それがスタンダードとして気持ち悪いくらい生活に染み込んでいる現実を生々しく見せつけられるからだ。
この世界の際立って特徴的な点は人が神性化していることだ。つまり「人間とは神であって特別な能力を持っているもの」と定義され、それ以外はモノのように排除される。また人間以外の生物は家畜、奴隷化している。人はその状況に疑問を持たず無意識化の差別の中で文化を形成している。大人も子供も違和感なく無邪気に形成したカースト制度的な世界で暮らしているのだ。
今回、そのような世界に違和感を持ち、現在築かれた文化形成の真実やこの世界の違和感を主人公たちが深く、深く掘り下げていく。
そのストーリーの進め方は決して気持ちよく見られるものではなく、見る人の心にのっぺりとした感触を残し続けるような展開になる。だからこそこの作品は人によって余韻が長く、とても深く考えさせられる。
見どころ
本作品は原作を読むことでより深く考えさせられる味のある作品だ。原作からアニメ、アニメから原作という順番でも良いが、ぜひ評価が高い人は双方手にとってほしい。
そして合わせてみてほしいのが「ホモデウス」という本だ。この作品は人類の新たなる目標を「ホモ・サピエンス」から「ホモ・デウス(神の人)」へアップデートすることであり、不死、幸福、神性の獲得が追求されていくだろうと語っている。
つまり、「新世界より」ととても相性が良い。この本を合わせて読むことで、もしかしたら遠い先に「新世界より」が到達した世界形成があり得るかもしれないと考えさせられる。
何をバカなっ、、と思うかもしれないが、世界の形は似ないが、本質的部分は同じになるかもしれない。そんな深い示唆を増やしてくれる興味深い良書だ。
ただ、この作品はとても長いです。
よって下記のような本の要約サイトで読むだけでも十分楽しむことが可能です。今のところホモデウスの上巻は無料で読めます。
ぜひ、「新世界より」を見て、好きになった人はホモデウスも合わせて読んでみてください。
では、また
ちなみに、Amazonプライム・ビデオで見れます。
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