「アフターデジタル」と「ようこそ実力至上主義の教室へ」の組み合わせが、中国のリアルを知る上で良い!

今中国では、あらゆるデータがデジタル化され、それによって大きなビジネス原理や人の行動が変化しています。

空港に着けば顔写真、手の指紋をすべてとられ、登録される。道路で少しでも信号無視などしてしまうと、街中の大きなエキシビジョンに自分の顔が映し出され、さらされる。もし中国在住していたなら私の信用クレジットは減らされただろう。

今回はそんな中国の先進的な動きと、これからどうなっていくのかを多くの事例を交えて紹介、分析している「アフターデジタル」というビジネス書と、実力評価ですべての自分の価値やクラスの評価まで決まってしまうという超実力主義社会の学園生活ストーリーアニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ」が良い組み合わせだと思ったので合わせて紹介する。

「ようこそ実力至上主義の教室へ」とは?

最新設備が使用でき、毎月1ポイント1円相当の電子マネー(プライベートポイントと称される)が10万円分支給され、髪型や私物の持ち込みも自由であり、希望する就職、進学先にほぼ100%応える全国屈指の名門校・高度育成高等学校を舞台に繰り広げられる新たな学園抗争。新入生のひとりとして入学した綾小路清隆は、その能力と才覚と出自ゆえ、ポイントや権力・利害を巡り権謀術数うごめく校内のクラス間の激しい攻防や対立、クラス内の陰謀や策略に否応無く巻き込まれてゆく。via:ようこそ実力至上主義の教室へ – Wikipedia

以下、「よう実」とする。

要するに、学園にいる間、食う寝る遊ぶために必要なお金、生きるためのお金は「ポイント」のみ。これは成績や普段の学園生活の行動で毎月与えられるであろうポイントから減算方式で減っていく。

その月の生活態度や成績が悪ければポイントがゼロになることもあるし、クラス全体で平均点が低ければ連帯責任でポイントが減らされる。

クラスごとランク分けされており、Aクラスが上位。上位クラスの方がポイントボーナスが高く、ランクが低ければ上にのし上がるのも厳しい。本当の評価実力至上主義の社会だ。

これが、とても今の中国と類似していると感じた。

アフターデジタルとは?

行動データを簡単に取得できるモバイルデバイスやセンサーの普及によって、データ化できないオフライン行動がなくなって「オフラインがデジタル世界に包含される」世界のこと。

アフターデジタルと「よう実」との組み合わせ

まずアフターデジタルでは、今までリアルとデジタルは一種の垣根があったが、デジタルがリアルに内包されるというイメージがわかりやすい。

オフラインからオンラインまで垣根なく、生活の至るところに顧客接点を作り、顧客がいつどこで何をしているかど、行動データを逐一取得する。そしてその行動データを活用し、顧客に対して最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取り、商品・サービスの購入へと導く。

これは顧客体験を最高のものとする素晴らしい活用事例だ。

一方で、常時オフラインをオンライン化できる。つまりデータ化できることで、ある驚異的な指標で人間をランク付けできるようになった。

それが信用スコア

信用スコアがもたらす、データによって強制された善行の世界

これが今まさに中国で起きている。

モバイル決済の普及を担ったアリペイ。その提供会社であるアリババグループの傘下である「アント・ファイナンシャル」が2015年にはじめた「ジーマ・クレジット(芝麻信用)」がある。

ジーマ・クレジットはアリペイの機能の1つだ。友人との関係、購買履歴、サービスの利用状況、支払い状況など、様々な変数をAIに分析させその人の「信用スコア」を算出している。

信用スコアが高い人は様々な恩恵が受けられる。たとえばアリペイのサービスを受けるときにレンタカーのデポジットや、賃貸時に敷金が不要になるなどある。

これは企業側にも大きなメリットがある。それは人を選定するコストがかからないこと。つまり「信用」というスコアが高いから信用できる行動をとるだろうし、その信用スコアが高い人は、そのスコアを下げないように行動し続けるからだ。こんなに効率が良いことなんてないないだろう。

ただこれは「企業と顧客」の話。

これが「よう実」の世界だと「学園と学生」という構図になる。しかし、学園といっても運営し続けるには「経営」をしなければならないし、良い学生を社会へ排出するためにはクオリティの高い学生が必要になる。そして、それら卒業生が社会的インパクトの大きなことを成し遂げれば学校のブランド向上につながる。

これは、どこの学校でも塾でも成績を貼り出したり、受かった大学進学率を示したり、誰ががスポーツで活躍した時は横断幕を作って学校に飾るという行動がそうだ。

つまり「学園と学生」というより、「学園と企業」という構図の方がアフターデジタルの世界とも合致する。

「よう実」では学園ブランドを下げる学生はどんどんランクを下げられる。それは個人だけではなく、チームとして、クラスとしてもランクが上下する。
これは学生が社会に出てチームワークも取れないようであれば組織としての成長の足かせとなり、企業の不協和音となる。そのような学生はいらないのだ。

では、「よう実」ではどのように優秀な学生を創出させようとしているのか?

それが「評価ポイント」である。これが「信用スコア」の概念と極めて高い。そして、アニメを見ているとわかるのだが、この学園、極めて先生が少ない。
そのかわり学内にはいたるところに監視カメラが設置されており、ゴミひとつ捨てる行動、生徒同士の喧嘩など、ほぼ全てが見られている。

ゆえに行動データを大量に取得し、AIか何かで効率的に分析し、その結果を持って学生ポイントを振り分けているのだろう。また、そのポイント振り分けルールも一定ではなく、ランクが上げ下げさせられた学生やクラスの結果として蓄積され、高度で高速なPDCAを回すことでポイント評価制度を高めていると推測する。

これは信用スコアの世界でも同じだし、よう実の世界でも同じだ。

今回、なぜアフターデジタルとよう実を組み合わせると面白いのか?

ビジネス書としてアフターデジタルを読んでも十分面白い。だが、日本人にとって中国で起きていることはなかなか目にできず、表面的には理解できてもリアルに自分ごととして感じにくい。

しかし「よう実」と組み合わせることで、もし日本で信用スコアが導入されたら?世の中はどのように変わってしまうのか?
信用スコアを導入していく社会はどのように未来に影響を与えていくのか?などリアルな仮説として「評価すること」のメリデメが見えてくる。

純粋にアフターデジタルも「よう実」も単物として楽しんでもいいが、ビジネスをしていく上で難しいことも簡単な物語と掛け合わせていく必要性があると常に感じる。

ぜひ、両方とも合わせて楽しんでいただきたい。

アフターデジタルは本の要約サイト「フライヤー」で読めます。

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Posted from するぷろ for iOS.

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Gadget好き。中でもApple製品のシンプルデザインに惚れ込んでいる。iPhoneやiPadなど星の数ほどあるアクセサリーの中からオシャレでクールな商品を見つけて紹介。また、アニメ・ビジネス書もこよなく愛す。