「嫌われる勇気」という目を引くタイトルに思わず手に取ってしまい読み進めていきましたが途中まで非常に気分が悪くなりました。
なぜなら私自身、登場人物の青年に感情移入しすぎてしまっていたからだと思います。
アドラーの心理学を提唱する哲人と白熱議論する青年、その青年の抱いている疑問は私たちの悩みの本質でもあり、それについて何度も喝破してくる哲人のスタイルはなんとも納得しがたい限りです。
しかしそれは、私や青年の中でアドラーの思想があまりに新鮮で、常識という枠の中では考えられない次元を展開させてきており、
認めたくないけど、そうなのか?
という問いばかりを残して話が進んでいくからである。
だが、それがいい!
このモヤモヤした青年のような気持ちだからこそ哲人との対話を進めていくうちにだんだんとアドラーの教えが浸透してきて、「人間の悩みは、全て対人関係の悩みである」という真理に近づき、最後には気持ちよく哲人と最愛の友のように握手したくなるような気持ちになってしまっていました。
人は変われる、世界はシンプルである、誰もが幸せになれる
この宗教じみたウソのような言葉が、物語を読み進めていく上で確かに浸透していきます。
時には青年のように激情し、哲人にぶつける議論を一緒に考えたり、また、気持ちよく論破されたら賞賛したりと、是非とも青年と哲人のライブ感溢れる議論を体に染み込ませながらアドラーの心理学を理解していけたら良いと思います。
人によっては衝撃的すぎる劇薬!この本に出会って心底感謝するか?哲人の議論に納得がいかず怒りを覚えてアドラーに反発するのか?
読み方は自由!どんな結果であれ心に残ること間違いなしの一冊でした。
何度か日をあけて読み返してみようかと思います。
以上
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