おせんべいで大切にしたいのは「食感×香り×深み」の3点に尽きます。
今回紹介するのはスーパーでサクッと手に入るにも関わらず、この3点を兼ね備えた魅力的すぎるおせんべいです。
創業昭和24年、老舗米菓店「風味堂」の定番おせんべい「たがね餅』をご紹介
透明なパッケージにシンプルな文字『たがね餅』
無駄な装飾がなく、人を引きつけるような過剰なキャッチフレーズもなく、ただ愚直に、硬派に『たがね餅』という表現のみ。透明なパッケージから覗かせる黄金色のおせんべいと、あえて乱暴に擦り潰されたもち米とうるち米のツブツブが頂点的に「オレを食べてみろ!」と挑戦状を叩きつけているようだ。これは・・チャレンジするしかないだろう!
”うるち米ともち米の生地を薄切りし、しっかりと焼き上げた溜まり醤油のおかきです。”
こんなに香ばしく焼き上げている上に、溜まり醤油だと・・・
これは期待するしかないっ!
ザラザラとたがね餅をおもむろにお皿に分ける。
パリッパリに仕上がっている証として、お皿にたがね餅を入れると、乾いた衝撃音が跳ね返ってくる。この音が乾いていればいるほど噛み砕いた時の食感がたまらない。
一枚手に取ると、水分を全く感じさせないサラサラ間、
少しなぞると、うるち米ともち米の形が感じられるほどゴツゴツしている。しかし1枚1枚は非常に薄く、溜まり醤油の味を凝縮して味わえることに期待ができる。
さて、さっそく一枚口に入れたいところだが、一口サイズのおせんべいを食べるときは私なりの鉄則がある。それは、数枚つかんで一気に口の中に放り込むこと。これによって「食感×香り×深み」が一気に味わうことができてしまう。
実食!
3,4枚つかんだだろうか?ジャラジャラと500円玉くらいの大きさのたがね餅を手のひらに転がし、そのまま数枚口の中に放り込んだ。
入れた瞬間、溜まり醤油の香ばしい匂いが鼻孔を突き抜け、一気に口の奥から唾液が放出される。
その押し寄せる波に負けじと一気にたがね餅を噛み砕く!
すると、噛み砕くたびにツブツブの食感が歯に感じられ、噛めば噛むほどアゴが揺れて脳まで刺激される気分だ。程よい濃さの溜まり醤油は、噛み砕いた後のツブツブとうまく絡み合い、絶妙な味の抜け間を体験させてくれる。
これは、、本当に至福の時だ。
さいごに
おせんべいは数多くあり、通常は数秒も悩まず雰囲気で購入してしまうもの。
なので、目を引くパッケージやキャッチフレーズは本来の味とは裏腹に誇張された表現も散見される。
そういった「売りたい側の立場」も考え、そういった戦略にあえてノセられることなく純粋な「おせんべい」を見つけてほしい。
この風味堂の「たがね餅」は主張こそ控えめだが、おせんべい本体はどう猛と言わんばかり自己表現をしている。ぜひこういった中身にそっと注目して、本当においしい「おせんべい、おかき」を見つけてほしい。