「君の名は」に続く大ヒット作「天気の子」
すでに私は2人の娘と別々に観に行って、今週末には4DXも公開されるらしく、また観に行きそうな予感。
今回はすでに「天気の子」を観た人向けのレビューです。少し内容に触れますので観る予定の方はこれ以降読むのは映画鑑賞後がオススメです。
天気の子の本質とは何か?それは前提と価値観の違い
私自身が捉えたこの映画の本質として、2つのセリフが関連して響いた。
1つ目は、
「そもそも異常気象といっても、それはいつから観測したことなのか?」
気象神社へ取材で訪れた圭介と夏美に、天気の巫女伝承を伝えた神主の言葉だ。
2つ目は、
「天気なんて狂ってていいんだ」
人柱として空へ消えてしまった陽菜を連れ戻す時に帆高が決断した言葉だ。
この2つのセリフは非常に面白い。人それぞれが持つ比較の基準と判断の基準にフォーカスを当てている。
この2つは人と人が感覚だけで共通認識になることは難しい。なぜなら前提が違うから。今回なら観測地点や自己視点、他人視点、世界視点など関わってくる。
だからこそ、「天気の子」には賛否両論が生まれ、各々が持っている前提が帆高の気持ちに近ければ強く共感するだろうし、それより世界を救う方が正義だという前提価値観があれば否定的な映画になるだろう。
だから私は思う、
価値観なんて人と合わせる必要なんてない
理解する必要はあるかも知れない、が、人の本質的な価値観を異なる前提をベースに強制するのはナンセンスだということ。
そして、これらの示唆は以下2つのビジネス書からも深い学びが得られる。
マイケル・サンデル氏の「これから正義の話をしよう」で「正義」を問う
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、その1人を殺すべきだろうか? 金持ちに高い税金を課し、貧しい人びとに再分配するのは公正なことだろうか? 前の世代が犯した過ちについて、私たちに償いの義務はあるのだろうか?
本書で著者マイケル・サンデル氏はこのように「正義とは何か」について考えさせられる問いを投げかけてくる。これらは全て、正解はないが決断を迫られるものばかりだ。そして私たちの道徳観や倫理観に鋭く訴えてくる。via:これからの「正義」の話をしよう / いまを生き延びるための哲学 | 本の要約サイト flier(フライヤー)
まさに異常気象を止めるために陽菜を人柱にするのか?それとも愛する人との幸せのために、異常気象を受け入れ、その世界を生きようとするのか?という帆高なりの「正義の判断軸」につながる。
この本は、様々な鋭い問いにより「正義」を考えさせられる。
「ファクトフルネス(FACTFULNESS) 」で比較する前提を合わせる
要点1
世界はどんどん物騒になり、社会の分断が進み、環境は悪化していると多くの人は思い込んでいる。しかし統計データを見ると、世界は基本的にどんどん良くなってきている。要点2
人々が世界を誤って認識している原因は、本能からくる思い込みにある。要点3
本書で紹介する「ファクトフルネス」を日常に取り入れていくことで、そうした思い込みから脱して事実に基づく世界の見方ができるようになる。判断力が上がり、何を恐れ、何に希望を持てばいいのかを見極められるようになる。 via:FACTFULNESS / 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 | 本の要約サイト flier(フライヤー)
これは観測史上いつからなのか?のセリフに通ずる話し。天気の子では雨が降り注ぐ異常気象が数年続き、東京が江戸の昔と同じように水没していく。
その状態を発展した東京から見れば文化の衰退に見えるかも知れないが、それは悪いことなのか?何が正解なのか?を考える必要がある。
たとえば水没することで、交通網は遮断され車や電車は使いにくくなるだろう。一方で、限られた地域と、多くの水による自然生物の成長により以前より環境改善になっているかも知れない。二酸化炭素排出量も減っていることだろう。
文化こそ停滞しているかも知れないが、それこそ成長しすぎた先進国には立ち止まるいい機会だったのではないか?
と、180度事象を反転して、太極的に物事を捉えるだけで世界や人、正義のあり方や見え方がまったくもって違ってくる。
ほんの2時間の映画だが、「天気の子」が訴えていた本質はベストセラービジネス書と遜色ないクオリティだと私は思った。
今一度、このビジネス書2冊を読了した後に「天気の子」を見てみると、まったく違う解釈でストーリーと向き合えるかも知れない。
そんな味のある名作映画だ。
では、また
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