『わたしたちはだれしも 、子どもに最良の機会を与えることの大切さを知っている 。最近の親は 、自分には与えられることのなかった機会を 、子どものために生み出すことに 、ますます精を出しているように思われる 。
わたしたちはよかれと思って 、子どもに人生を豊かにする経験をさせようと 、さまざまなコ ーチや講師のもとに送り出す 。子どもに将来生きていくのに必要な能力を身につけさせるには 、そうするのが一番だと信じているのだ 。
だが子どもにこのような形で手を貸すことは 、大きな代償を伴うことがある 。』
高学歴、高収入、綺麗な奥さん、豪華な生活、実はどれも虚しい幸せが多い
ハーバードビジネススクールでMBAを取得し、在学中には「社会を良くする」「世の中を変えてやる!」と大きな志を持ちながらも、それらが実現されることもなく、能力があっても別な方向へ力を使ってしまう。
気づいたころ、数十年後に同窓会を開いたら「離婚した」「刑務所にいる」「借金まみれ」
とてもじゃないが幸せと言えるには程遠い人生を送ってしまっている。
それは何故だろうか?
本書は優れた「能力」と回りを惹きつける「志」を持ちながらもその能力の使い方や、使う時期など、何故道を誤ってしまうのか?どうすればよかったのか?という点を事例を交えながら講義してくれます。
大切なのはその一つ一つの事例を覚えて自分に当てはめることではなく、すべての事象には理論があり、その理論を知っていることで正しい考え方や判断基準ができるようになると指南してくれます。
子供をテセウスの船に乗せるのか?
非常に強烈な視座を得た一文↓
『ギリシャ人がわたしたちに残した 、興味深いパラドックスがある 。著述家のプルタルコスが初めて書物に著した問題で 、 「テセウスの船 」と呼ばれるものだ 。アテナイ人は 、ミノタウロスを退治したことで知られる伝説的なアテナイ王 、テセウスに敬意を表して 、彼の没後も彼の船をつねに航海できる状態に保ち 、アテナイの港に停泊させておいた 。船の部品が朽ちるたびに新しい部品に取りかえ 、これをくり返すうちに 、とうとうすべての部品が置き換えられた 。
これがパラドックスだ 。この船は 、部品が一つ残らず置き換えられてもなお 、テセウスの船なのだろうか ?アテナイ人はまだテセウスの船と呼んでいたが 、本当にそうなのだろうか ?
これを 、同じような哲学的な問いに変えよう 。あなたの子どもが 、優先事項や価値観をよその人に学ぶなら 、彼らはいったいだれの子どもだろう ?』
要するに、子供の育成、成長をすべてのアウトソースしてしまった後に出来上がったあなたの息子や娘は「あなたの子供なのか?」という問いである。
様々な企業が自社の資源を効率化のためにアウトソースしまくり、気づいた頃には自分たちが作り出せるもの、与えられるものが何もなくなり用済みになってしまったのと同じで、
子供に習い事、家事、キャンプ体験、留学など、様々な興味深い学びのキッカケを「親の忙しさ」という理由で平然とアウトソースしてしまってませんか?ということです。
子どもとしっかり話せるのは小学校まで、それまでに自活できるような教えを親の手自ら子供に教えることによって、親の存在価値は大きくなり、中学、高校と成長していっても信頼されるあなたの子供になっているはずである。
それなのにもかかわらず、一番大切に過ごすべき幼少期から青年期を転勤やゴルフ、接待や仕事などで後回しにし、仕事が落ち着いた頃に思春期真っ只中の子供たちに正論をぶつけ正しくしつけようとする。
それでは、子供が話を聞いてくれませんよね?
今まで、子供の形成された能力が、学校の先生、塾の先生、部活のコーチ、英語の先生、習い事の先生とすべてアウトソースされてきたのですから、どの部分を親の尊敬としてあてがえばいいのでしょうか?
往々にして、これらのことに気づいた頃にはすべてが手遅れになっており、事は終わってしまっている。
私たちはそうならないためにも、うまくいっていると思える今日こそ、子供や家庭を顧みて、今必要とは思えていなかったことにも目を向けなおすことが必要なのではないでしょうか?
一週間に一回早く帰って一緒に食事をとる、電車を遅らせてみる。週末ゴルフを休んでみる。飲み会を断ってみる。
その時、瞬間的に形成される無責任な人間関係構築より、一生愛に溢れる家庭を作るために力を注ぐ方向を考えてみるのも大切だと思います。
アドラーの「嫌われる勇気」から引用すれば
自由とは 、他者から嫌われることである
『他者の評価を気にかけず 、他者から嫌われることを怖れず 、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり 、自分の生き方を貫くことはできない 。つまり 、自由になれないのです 。』
本書はこう言ったマインドをイノベーションしてくれる刺激的な良書です。
もし、今、家庭がうまくいっていると思うなら、すぐに本書を手に取ることをお勧めします。
それが実は崩壊前の警笛かもしれません。
スキマ時間に読めるビジネス書「10分要約サービスflier 」
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